西郷隆盛(各回の主な出演者)
◆ 放送当日の新聞各紙のテレビ欄に掲載された配役を引用しました。
◆ この番組を記録した映像はほとんど現存しないとみられています。そのため、各回のあらすじを各回のクレジットの末尾に記しています。あらすじは、主に朝日新聞のテレビ欄に掲載されているものを用いていますが、地域などによって大きな差がある場合があります。そのような場合は、最も詳しく記載されているものをベースとし、他紙における記述を適宜挿入するなどして構成しました。
第1回 噴煙あがる
 宇津井健(西郷吉之助)
 山本 学(有村俊斎)
 月丘夢路(お由良の方)
 中村鴈治郎(無参和尚)
 内藤武敏(大久保市蔵)
 磯村みどり(お信)
 杉浦直樹(赤山靱負)
〈あらすじ〉天保十年、イギリスは清国に迫って、同十三年には香港を植民地とし、さらに琉球にあらわれて沿岸を測量した。翌弘化元年、フランス軍艦が那覇に入港して通商条約の締結を要求した。
 このころ薩摩藩は外国勢力の脅威に苦慮する一方、内政面でも諸問題を抱え、内紛の火の手があがりかけていた。当主斉興は無力、藩政の実権はその妾お由良の方と財政を一手に握る調所笑左衛門、そのふところ刀海老原宗之丞の手中におさまり、悪政をほしいままにしていた。正義を主張するものはことごとく成敗され、そして学問に秀いで実践力にも卓抜の才を持つ世子斉彬は、お由良の実子久光の世継ぎの策略にあって襲封できないでいた。
 しかし藩内にはこうした情勢を深く憂慮する人々もいた。西郷吉之助たち若者は「論語」の輪講にことよせた二才組と称する集りを持ち、藩政改革を討議していた。腐敗に対する怒りをおさえきれなくなった吉之助は調所と海老原を葬る決心をしたが、この暗殺計画がもれ、彼は捕えられた。
第2回 日暮れて道遠く
 宇津井健(西郷吉之助)
 山本 学(有村俊斎)
 月丘夢路(お由良の方)
 中村鴈治郎(無参和尚)
 杉浦直樹(赤山靱負)
 内藤武敏(大久保市蔵)

〈あらすじ〉現状打破を唱え、江戸から斉彬を迎えた吉之助たちと、藩政を握る調所一派との暗闘を描く。
第3回 雪を彩る
 宇津井健(西郷吉之助)
 山本 学(有村俊斎)
 月丘夢路(お由良の方)
 杉浦直樹(赤山靱負)
 仁木多鶴子
 浅野進次郎(近藤隆左衛門)
 成田次穂(二階堂利平)
 深見泰三
〈あらすじ〉弘化初年、うちつづく凶作と琉球に迫ったフランス船の通商条約問題をきっかけに、薩摩藩七十二万石は当主斉興を中心とする保守勢力と、江戸にある世子斉彬を擁立する若者達の力が相争いゆらぎに揺いでいた。ところが、斉興の無力をいいことに妾お由良と財政を握る調所笑左衛門とが悪政をほしいままにしていたことが老中に知れ、調所は切腹する破目となる。
 斉彬に藩の建て直しの夢を託する吉之助ら若者達もこれを機に一気に藩政を改革せんと立上がった。斉彬の側近赤山靱負は町奉行近藤隆左衛門、鉄砲奉行山田一郎左衛門、船奉行高崎五郎右衛門らと計って、彼らが心を砕いて集めた藩の琉球貿易の極秘資料をしたためた密書を二階堂利平ら三人の気鋭の郷士に託し、江戸の斉彬に届けることになった。三人は大任を帯びて江戸へたったが……。
第4回 曙光ありて
 宇津井健(西郷吉之助)
 山本 学(有村俊斎)
 月丘夢路(お由良の方)
 中村鴈治郎(無参和尚)
 坪内ミキ子(お俊)
 渥美国泰(海老原宗之丞)
 杉浦直樹(赤山靱負)
 浅野進次郎(近藤隆左衛門)
 金子信雄(碇山将曹)
 原 保美(関勇助)
〈あらすじ〉世子斉彬をまもり一気に藩政改革を実現しようとする赤山靱負は、町奉行近藤隆左衛門ら同志が集めた藩の琉球貿易の極秘資料を江戸の斉彬に届けるべく、二階堂利平ら気鋭の郷士を密使として派遣したが、いち早くその動きを察した海老原宗之丞ら一派のため、靱負、近藤隆左衛門ら憂藩の士はことごとく断罪に処せられた。調所笑左衛門なきあとの藩政は、お由良の方の希望で、江戸から帰国した碇山将曹の手ににぎられており、斉彬をまもる改新派に対してつぎつぎと弾圧を加えた。そうした情勢の中で、赤山靱負と旧知の仲だった関勇助の指導のもとに、吉之助ら若者たちは残されたただひとつの道として、筑前黒田藩の力をかりることを計画する。
第5回 天をふり仰ぐ
 宇津井健(西郷吉之助)
 山本 学(有村俊斎)
 月丘夢路(お由良の方)
 中村鴈治郎(無参和尚)
 坪内ミキ子(お俊)
 内藤武敏(大久保市蔵)
〈あらすじ〉新藩主になった斉彬に二才組の若者たちは大きな期待をかけたが、斉彬は何の新方針もうち出さなかった。そうした中で吉之助は座禅を組んで斉彬への期待を持ち続けたが、彼をいさめたのは無参和尚だった……
第6回 花咲けど
 宇津井健(西郷吉之助)
 岡田英次(藤田東湖)
 山本 学(有村俊斎)
 月丘夢路(お由良の方)
 中村鴈治郎(無参和尚)
 坪内ミキ子(お俊)
 内藤武敏(大久保市蔵)
〈あらすじ〉西郷は斉彬の庭方を命ぜられ江戸に出た。約一か月のあと、まだ見ぬ藤田東湖を訪れようと仲間の有村俊斎に頼み実現した。西郷はふに落ちない疑念の一切を晴らそうと東湖に質問するのだが、俊斎を相手にバクチをやり出す始末。しばらくして東湖は「いやしくも大志を抱くものはすべからく好悪を超越して人生の実相に触れなければならない」という。西郷は迷いからさめる思いでじっと聞いていた……。
第7回 鍾乳石は育つ
 宇津井健(西郷吉之助)
 坪内ミキ子(お俊)
 岡田英次(藤田東湖)
 山本 学(有村俊斎)
 月丘夢路(お由良の方)
 中村鴈治郎(無参和尚)
 内藤武敏(大久保市蔵)
 北村和夫(島津斉彬)
 小林昭二
 金内吉男(長沼嘉平)
 加藤常喜
 金子信雄(碇山将曹)
 原 保美(関勇助)
 明智十三郎
 入川保則(伊東才蔵)
 小林勝彦
〈あらすじ〉安政元年夏、薩摩藩主島津斉彬が建造した昇平丸は、白地に日の丸を描いた旗をひるがえして江戸湾に入って来た。斉彬は「黒船には黒船を以て対さねばならぬ」と幕府に進言しこの日本最初の鋼鉄船を幕府に献上した。その後斉彬は日ごろの心労がたたって病に倒れ、前後して一子虎寿丸も死んだ。吉之助は立上がり東湖をたずねた……。
第8回 盃を割って立つ
 宇津井健(西郷吉之助)
 岡田英次(藤田東湖)
 北村和夫(島津斉彬)
 金子信雄(碇山将曹)
 山本 学(有村俊斎)
 月丘夢路(お由良の方)
 中村鴈治郎(無参和尚)
 坪内ミキ子(お俊)
 高津住男
 長内美那子(篤姫)
 荒木玉枝
 小林勝彦
 明智十三郎
〈あらすじ〉吉之助は碇山一味の斬奸計画をたてたが斉彬の反対にあって中止した。しかし同志は吉之助を責め切腹せろと迫ったのだが伊東才蔵がとび込んできて吉之助の苦境をすくった。この話を聞いた藤田東湖は、「吉之助に腹を切らせればお由良一味の悪計にのることだ。それよりも生きて幕府という大ネズミを退治せよ」と説いた。一方斉彬は島津安芸の娘篤姫を養女にし彼女を将軍家定公にとつがせる政略結婚が進んでいた。吉之助はがく然とする。斉彬も嫁入りの支度金や薩摩で建造中の蒸気船などで財政は苦しくなっていた。そんなところへ安政の大地震が起る……。
第9回 疑惑の淵
 宇津井健(西郷吉之助)
 中村玉緒
 坪内ミキ子(お俊)
 北村和夫(島津斉彬)
 山本 学(有村俊斎)
 高津住男
 明智十三郎
 小林勝彦
〈あらすじ〉篤姫の婚礼で参勤の期間を一年延ばし、さらにカゼのため一カ月と薩摩へ帰る日がおくれていた斉彬もいよいよ帰薩せねばならなくなった。ある日、斉彬は吉之助をよんで自分の名代として江戸に残るよう申しつけた。そして吉之助のなすべき仕事として、すみやかに一橋慶喜を継嗣と定めて西城入りを実現すること、開港その他大事はすべて朝廷のご裁許を仰ぐこと、などをいいつけた。
 斉彬は吉之助をおのれの片腕と頼み、こうした大役を彼に任せたのだ。徒士目付に召上げられ、かかる重大な任務を受けた吉之助は斉彬の厚意に報いるためさっそく仕事にとりかかった。まず橋本左内と会った……。
第10回 闇よりの声
 宇津井健(西郷吉之助)
 春日野八千代(月照)
 坪内ミキ子(お俊)
 北村和夫(島津斉彬)
 山本 学(有村俊斎)
 明智十三郎
 長内美那子(篤姫)
〈あらすじ〉安政五年春、尊皇の大義に目ざめた諸国有志は、眼下に迫った外国船に対処するため、将軍継嗣に英明のほまれ高い一橋慶喜をたてて、京都にいる主上の勅をいただいてまつりごとを行わんとした。しかし譜代大名はこれに対して若手の紀州慶福をおしたてて一気に革新勢力を押しつぶそうとしていた。どちらも主上の勅命をかちとろうとしてやっきになっていたのである。
 吉之助は篤姫からの密書により、一橋慶喜公をおしたてるため京都東福寺即宗院を訪れ、僧月照から近衛公に書状を手渡すよりほかないと察し、江戸から京に急いだ。
 やっとのことで月照に会い、きびしい問答の末に思いをとげた吉之助であったが、さらに彼の重荷が京に待っていた。お俊が故郷から吉之助を追ってきて、いっしょに薩摩に帰ってくれと迫るのだ。吉之助の心は大きく動いた……。
第11回 流 星
 宇津井健(西郷吉之助)
 春日野八千代(月照)
 坪内ミキ子(お俊)
 月丘夢路(お由良の方)
 原 保美(関勇助)
 北村和夫(島津斉彬)
 鈴木瑞穂
 明智十三郎
 金内吉男(長沼嘉平)
〈あらすじ〉藩主斉彬に認められた吉之助は一橋慶喜を将軍に立てようとする密命を帯び僧月照と会見するが、井伊大老の就任とともに尊皇派の動きはつぎつぎに封じられる。そんなとき斉彬の危篤が伝えられ吉之助は国元へ帰る……。
第12回 凶変の星
 宇津井健(西郷吉之助)
 春日野八千代(月照)
 原 保美(関勇助)
 内藤武敏(大久保市蔵)
 山本 学(有村俊斎)
 金内吉男(長沼嘉平)
 小林昭二
 金田龍之介(頼三樹三郎)
〈あらすじ〉大老井伊直弼の使者として、老中間部上洛近しの報は、勤皇の志士たちに激しい動揺を与えた。頼三樹三郎、吉之助らは京を守ろうと決死の覚悟だったが、容易に行動のとれぬよう封じ込められていた。
 奉行所役人の追及は、とくに三樹三郎の身辺に急であった。九州諸藩に対し、直ちに勤皇の義兵を上洛せしめよという内勅は、吉之助にとって大きな驚きだった。世情騒然の京にいっそうの混乱をひき起こすに思われたからだ。そんな吉之助を前に、月照は、勤皇派の結束の足りぬことを説き、お上の苦しさを思えとさとすのだった。月照のもとにも追っ手が迫り、吉之助が彼と同道し、逃げようとする道すがら、二人は三樹三郎の捕えられるのをみた。「あとを頼む」という三樹三郎の言葉に胸をいためる吉之助だった……。
第13回 氷雨ぞ降る
 宇津井健(西郷吉之助)
 春日野八千代(月照)
 山本 学(有村俊斎)
 高松英郎(長野主膳)
 小林昭二
 沢村宗之助
 青柳美枝子
〈あらすじ〉大老井伊直弼の命を受けた老中間部詮勝が、あと数日で京に迫ったころ、京にいる勤皇志士たちは間部に京の土を踏ますべからずと決死の勢いであった。頼三樹三郎はじめ勤皇の志士は井伊の側近、長野主膳の手で捕えられる。
 なかんずく、ようやく志士の間に信望を築きあげた西郷吉之助は、捕手の難を避けながら、老公斉興(※)の兵を借りて京の警備の任につき、東西勤皇諸藩の決起の口火を切ろうとしていた。※一部「斉彬」とするものあり。
第14回 故郷家なき
 宇津井健(西郷吉之助)
 春日野八千代(月照)
 山本 学(有村俊斎)
 原 保美(関勇助)
 内藤武敏(大久保市蔵)
 吉行和子
 森幸太郎(島津豊後)
〈あらすじ〉荒れ狂う井伊大老の弾圧に、同志はつぎつぎと獄舎につながれてゆく。僧月照にまでのびた弾圧の手からのがれるため吉之助は月照と俊斎を連れ、故郷薩摩へ向った。彼の胸中には、井伊の弾圧を阻止するには薩摩藩全土の決起よりほかにないという考えがうず巻いていた。しかし藩の盛衰しか考えられぬ藩士たちは、吉之助を老中に会わせず、藩を動かすべき島津豊後の門は堅くとざされ関勇助も吉之助に加担しない。同志の大久保市蔵までが吉之助に、藩庁には吉之助と月照引渡しの依頼状が幕府から届いていると伝え、藩外の国事を薩摩へ持ちこむことは迷惑だというのだ。そして月照は藩の定宿に入れられてしまった……。
第15回 月の薩摩潟
 宇津井健(西郷吉之助)
 春日野八千代(月照)
 原 保美(関勇助)
 内藤武敏(大久保市蔵)
 山本 学(有村俊斎)
 金内吉男(長沼嘉平)
 小林昭二
 上田忠好
 平田 守
〈あらすじ〉安政五年十一月、時の大老井伊直弼の弾圧にあった西郷吉之助は、僧月照と共に京を追われ故郷の鹿児島にのがれたが、薩摩藩は幕府との対立をおそれ二人を日向へ落そうとするがそこにも幕府のワナが待っていた。自分一人の力ではもはやどうにもならぬと知った吉之助は、僧月照とともに月影の美しい薩摩潟に身を投じた。しかし吉之助は奇跡的に助けあげられ、十日余り高熱にうなされたのち眠りからさめた。
 そんな時、京都から伊地知、吉井、岩切らが帰って来た……。
第16回 奄美の島
 宇津井健(西郷吉之助)
 藤村志保(愛可那)
 宮口精二(勇気老人)
 河村弘二(龍佐運)
 宮部昭夫(唐島)
 加藤 武(重野安繹)
 松山新一(木場伝内)
〈あらすじ〉安政六年正月、吉之助は大島送りとなった。島役人唐島は、西郷吉之助と知っても手心は加えず、流罪人同様の扱いをうけるようになった。こうして、南海の孤島にただひとりの身となった吉之助の胸に去来するのは、薩摩潟に身を投じた月照、安政の大獄に弾圧を加えられた同士たち、脱藩を計画した国元の友のことだった。島では言葉も通じないうえ、島民の目は冷たかったが、シシうちの勇気老人と娘の愛可那だけが吉之助に心をよせてくれるのだった。そんなある日、吉之助は江戸の昌平黌で共に学んだ重野安繹に出会った。詩や文章に心を入れていた重野は、他人の証文に判をついていたことから、謀書謀判の罪に問われ、大島流しになっていたのだ。重野は、この島の状態についていろいろと話した。
 薩摩が琉球を征伐したのが慶長十四年、このときから大島も薩摩藩の支配下におかれた。大島の代官は住民たちの系図をとりあげ、動物のように酷使した。このため島民は薩摩の人間を敵視しているという……。
第17回 対 決
 宇津井健(西郷吉之助)
 藤村志保(愛可那)
 宮口精二(勇気老人)
 河村弘二(龍佐運)
 宮部昭夫(唐島)
 加藤 武(重野安繹)
〈あらすじ〉奄美大島に流された吉之助は、島民の貧しい生活をうれい、義憤を感じていた。というのは薩摩藩は島の生産物である砂糖の上納をきびしく取締り、かわりにはやっと生きてゆくだけの品物を与えるだけだった。特に島役人の唐島は、不当に甘い汁をすっていた。
 そのころ、吉之助は、砂糖をなめたというこどもを、母親がなぐりつけているのをみて暗い気持になった。吉之助は自分に与えられた米を村人にわけた。それからというもの彼は体が弱って病床についた。そのころ勇気老人は、いのしし一匹も満足にうてない吉之助が島のすべてを一人で背負っているいるように気おっていることをあざ笑った。ところが勇気老人がある日、砂糖の納入が悪いという理由で島役人にひきたてられた……。
第18回 嵐の訣れ
 宇津井健(西郷吉之助)
 藤村志保(愛可那)
 加藤 武(重野安繹)
 宮口精二(勇気老人)
 河村弘二(龍佐運)
 内藤武敏(大久保市蔵)
〈あらすじ〉島に流されて三年、吉之助は愛可那との間に子どもをもうけて喜んだが、その心中はあせっていた。そのころ鹿児島では藩論が対立していたが、ある日、大久保から密書が届き、吉之助はいよいよ島を離ればならぬときがきた……。
第19回 薩摩進発
 宇津井健(西郷吉之助)
 吉行和子
 内藤武敏(大久保市蔵)
 山本 学(有村俊斎)
 金内吉男(長沼嘉平)
 田中邦衛(堀次郎)
 森塚 敏
 河村弘二(龍佐運)
〈あらすじ〉不詳
第20回 寺田屋騒動
 宇津井健(西郷吉之助)
 内藤武敏(大久保市蔵)
 山本 学(有村俊斎)
 田中邦衛(堀次郎)
 森塚 敏
 萬代峰子
 清水良太
 鈴木瑞穂
〈あらすじ〉不詳
第21回 少年の見る雲
 宇津井健(西郷吉之助)
 藤村志保(愛可那)
 三津田健(琉仲為)
 青山良彦(琉仲祐)
 植村謙二郎
 鈴木光枝
〈あらすじ〉徳之島送りとなった吉之助は、ある日、島役人の琉仲為の主席に招かれ、息子仲祐が代官たちに反抗しようとする動きを知ると黙っておれなくなってきた。そのこと愛可那が子どもを連れて会いにきたが吉之助は会おうとしない……。
第22回 憔悴の島より
 宇津井健(西郷吉之助)
 藤村志保(愛可那)
 山本 学(有村俊斎)
 川津祐介(土持政照)
 松村達雄
 清水良太
 幸田宗丸
 平田 守
〈あらすじ〉沖永良部島に流された吉之助は島の青年、土持政照と親しくなった。そのころ大久保市蔵から密書が届いた。それによると東下した久光が幕府に迫って一橋慶喜を将軍後見職につかせ、京都に引返す途中、生麦において、有村俊斎らが英国人をきるという不祥事件が知らされた。それが原因で鹿児島はイギリス艦隊の襲撃をうけ町の大半をやき払われたという。吉之助の動揺は激しかった。一刻も早く国元へ帰りたいと願いつづけた。そのころ、島に有村俊斎らがきて、吉之助の赦免を伝えた。途次、吉之助は奄美本島に立ちより、妻の愛可那に別れを告げた……。
第23回 動乱の跫音
 宇津井健(西郷吉之助)
 安井昌二
 山本 学(有村俊斎)
 雪代敬子
 久保菜穂子
 上月左知子
 中村友隆(桐野利秋)
 山本耕一(中岡慎太郎)
〈あらすじ〉西郷吉之助が入京して三カ月たった。彼を敬愛する桐野は中岡慎太郎から西郷が藩邸にすわりっきりで長州の苦境に手を貸さないでいると聞かされカッとなった。そして吉之助のところへどなり込みに行く……。
第24回 禁門の変
 宇津井健(西郷吉之助)
 久保菜穂子
 仲谷 昇(一橋慶喜)
 安井昌二
 上月左知子
 根本嘉也(来島又兵衛)
 北原義郎(有栖川宮)
 山本耕一(中岡慎太郎)
 山本 学(有村俊斎)
〈あらすじ〉元治元年七月、長州兵は来島又兵衛らに率いられ再入洛をめざして武力決起した。このころ薩摩藩の行動が注目の的になっていた。長州とともに幕閣と戦うか、それとも幕閣に組するかという去就が見守られていた。吉之助はひとり沈黙をまもった。一方、慶喜、松平容保ら主戦派と有栖川宮、三条実愛ら容長派とは事態をめぐって激しい論議をかわしていた。吉之助は決断をせまられるところとなった。慶喜からの使者がきて出兵を要請したが、吉之助らの薩摩側はこの争いを私闘とみて勤皇の大志を貫こうとし、吉之助はきっぱりと断った。しかも長州は討つべしという吉之助に、藩中は驚いたが、彼は独自で京の町を守ろうと考えていたのだ……。
第25回 汚名の男
 宇津井健(西郷吉之助)
 久保菜穂子
 山本 学(有村俊斎)
 萬代峰子
 山本耕一(中岡慎太郎)
 小林昭二
 雪代敬子
 寺田章右
 西島悌四郎
 塚本信夫
 鶴賀二郎
 小池朝雄(勝海舟)
〈あらすじ〉元治元年七月、禁門の変は長州勢の敗戦に終った。薩摩が西郷の指導で幕閣に加わったのが大きな原因で、長州にはさらに追いうちがかけられた。しかも西郷が征長軍を率いる立場になった。西郷には裏切り者の汚名がそそがれた。しかし西郷はそれに耐えたのだ。
 外国船が報復のため、長州に迫っていた。それに長州が立向かっても清国の二の舞をふむばかりではないか。それよりもいまは日本の国力の充実をはかり、勤皇の大義に生きるべきだと西郷は思い、そして長州を救おうと考えた……。
第26回 孤雁西へ飛ぶ
 宇津井健(西郷吉之助)
 久保菜穂子
 山本 学(有村俊斎)
 萬代峰子
 山本耕一(中岡慎太郎)
 小池朝雄(勝海舟)
 川辺久造
 片岡仁左衛門(徳川慶勝)
〈あらすじ〉吉之助は勝海舟と会い、長州派である尾張の徳川慶勝を征長総督に、自分が参謀となって出陣し、和議をして長州を傷つけぬよう説いた。海舟の了解を得た吉之助は尾張の本陣をたずねたが慶勝は現れない……。
第27回 開戦前夜
 宇津井健(西郷吉之助)
 本郷功次郎(高杉晋作)
 久保菜穂子
 滝田裕介(吉川監物)
 片岡仁左衛門(徳川慶勝)
 本郷功次郎(高杉晋作)
 加藤 嘉(福原越後)
 山本 学(有村俊斎)
 見明凡太朗
〈あらすじ〉元治元年八月の政変に京を追われた長州は、蛤御門の戦いに敗れ征長の大軍を迎えるハメにおちいった。決戦の機運の中で、吉之助は単身、岩国に乗りこんで、城主吉川監物を説いて無血講和を結ぼうとはかった。長州側は蛤御門の責任者として福原越後ら三人の家老を徳山にとじこめ、謹慎して和をこう態度をみせる一方、高杉晋作、山県狂介らはあくまで決戦態勢をとるべく藩庁の非をせめた。
 だが、吉之助にはそれなりの成算があった。監物に会い長州の威信を傷つけぬよう一たん講和を結んだあと、藩庁を倒して勤王の実をあげようというのだ。
 監物が吉之助の意をくんで講和へと心が動いた折り、晋作は福原に会い、決戦の意を伝えた。だが福原に制せられ、その心中は苦しかった。そして晋作は福原から、長州側を講和の方向にもっていく役割を受けた。そうした無血講和への望みがくずれたのは、幕軍の一部決戦派が長州の捕虜を惨殺し長州側を硬化させたことからだった……。
第28回 竜虎密約
 宇津井健(西郷吉之助)
 本郷功次郎(高杉晋作)
 久保菜穂子
 片岡仁左衛門(徳川慶勝)
 滝田裕介(吉川監物)
 山本 学(有村俊斎)
〈あらすじ〉幕府と一触即発の関係にある長州の高杉晋作と会った吉之助が、薩長連携の密約をする場面。
最終回(第29回)慶応の春
 宇津井健(西郷吉之助)
 久保菜穂子
 片岡仁左衛門(徳川慶勝)
 本郷功次郎(高杉晋作)
 飯田紀美夫(山県狂介)
 山本 学(有村俊斎)
 山本耕一(中岡慎太郎)
 久松保夫(永井主水正)
 武藤英司(成瀬隼人)
〈あらすじ〉長州総攻撃を目前にした征討軍は四方から長州を囲み、長州も奇兵隊を中心にして焦土決戦の気構えを見せていた。
 元治元年の師走。西郷吉之助はこの長州に単身乗り込んで、五人の公卿の引渡しを要求した。それは、死中に活を求める、決死の行動であった。
 五卿は九州諸藩が責任を持って預り、長州の面目を立てよう、という吉之助の主張は、高杉晋作、中岡慎太郎はもとより過激派の山県狂介をも動かした。暮れも迫った二十七日、征長の大総督徳川慶勝は、征討軍各藩の代表を、広島の本営に集めた。
 その席上、強硬論をはく大目付永井主水正、大監察成瀬隼人も、敵方の恭順の名目が立てば、役目を返上して一兵残らず引揚げさせてもらうといい切る吉之助におしきられた……。
大河ドラマ+時代劇 登場人物配役事典
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